「勉強した内容をシェアする」って法的にOK?

「勉強した内容をシェアする」って法的にOK?

2021年5月18日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/600e396a8ba7e10e211e39bd

★インプットよりアウトプット

私が繋がっている人たちは、個人で情報発信をして、ビジネスをがんばっている方が多いのですが、
そういう人たちは普段、本を読んだり、セミナーを受講したり、
他にも有益な発信をしている人たちをフォローしたりして、
積極的に学ばれているかと思います。

そして、そういう学びをしていると必ず出てくるのが、
「インプットよりアウトプットを多めにしましょう」
という言葉ですよね。
インプットよりも、アウトプットの方が記憶に定着しやすい、ということは、
皆さんも聞いたことがあるかもしれません。

精神科医で作家の樺沢紫苑先生の著書
「アウトプット大全」によると、
「インプットとアウトプットの黄金比は、3対7」で、
「インプット時間の2倍近くをアウトプットに費やすよう意識」すると良いそうです。

したがって、勉強してインプットした内容を、
SNSやブログなどでシェアすることでアウトプットしたい!
というのは、誰もが考えることですよね。

★基本的に「引用」ならシェアしてOK

ところで実は今、今日の本題の結論をほのめかしたのですが、お気づきでしょうか。
さっき樺沢紫苑先生の著書から、一部「引用」して紹介しましたよね。

そうです、基本的に「引用」という形なら、無断で「勉強した内容をシェア」してもOKです。
そこで「引用」の条件に当てはまるようにすることが大事です。

★「引用」の4条件

①区別できる
引用した部分が、その他の部分と区別できるようにする必要があります。
例えば、文章ならカギかっこ「・・・」で囲むとか、引用符“・・・”で囲むなどします。
音声の場合は、ちょっとわかりづらいですが、
話す速度や声を変えるとか、エコーをかけるとか、前後に間を空けて話すとかするといいと思います。

②引用部分がサブで、自分のコンテンツ部分がメイン
引用というのは、あくまで自分の意見や主張の補強に使うものなんですね。
例えば、「〇〇さんは、こう書いている」「それについて自分はこう思っている。その理由はこれとこれとこれの3つです」みたいな感じです。
なので、自分オリジナルの部分がメインとなるように、質と量を調整する必要があります。
程度問題なので、どこまでがメインとサブの分かれ目かははっきりしませんが、
引用しすぎないことと、配分をちゃんと意識していれば問題はないと思います。

③出典を表示する
誰の何を引用したのかを明らかにして表示することが必要です。
書籍であれば、タイトルと著者名は必須、できればページ数と出版社と出版年があると理想です。
(私もそこまではできてませんが)
ウェブサイトならタイトルとURLがあるといいですね。

④勝手に表現を変えないこと
引用部分は、そこで表現されている通りに抜粋するということです。
勝手に表現を変えたり、順番を入れ替えたりしてはいけません。
意図的に変えるのは当然NGですが、
結構、漢字や送りがななどが違っていたりするので、
その点は要チェックです。
明らかな誤記がある場合は「(原文ママ)」など注釈を入れると、
自分のミスと思われずに済みます。

★非公開のものは「引用」できない

ただし、注意が必要なのは、
「公開されていないもの」は、「引用」することができないということです。
著作物を公表するかどうかは、それを創作した人だけが決められる「公表権」という権利があるからです。
一部の引用だからと言って、無断で公開されたくはないですよね?
なので、公開されているものだけを引用してください。

例えば、前回の話に出てきたLINEやDMやメール、手紙などの個人的なやりとりの中の著作物については、
公開されていないので、引用であっても許可なくシェアしてはいけません。
これはプライバシーの話とは別になります。

★限定公開のものは「引用」できるのか?

問題になるのが、メルマガとか、会員限定のサイト内でのコンテンツの引用ですよね。
有料のコンテンツであればなおのこと、引用していいのか気になるところです。

これらの場合は、1対1ではなく、1対多の関係なので、
「引用」の条件に当てはまるなら問題ないとする説が多いです。

ただし、法律上OKでも、そのコンテンツを作った人からすれば、
公開しないでほしいと思っているかもしれません。
したがって、限定公開のものに関しては、
引用していいかどうかを、一応作者に確認を取ってからにした方が、
信用を大事にする意味でもいいのではないかと思います。

以上、「勉強した内容をシェアする」ことは、
「引用」の4つの条件に当てはまるならOKですが、
非公開のものは引用できない点、
限定公開のものは引用するにもちょっと配慮が必要な点
についてご説明しました。

自分もできていないところがあるので、
これから気をつけていきたいなと思います。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。