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商標

現存最古の日本の商標

以前の記事で、
商標権は「登録日から10年」の有効期間だけれど、
10年ごとの更新により20年、30年…と
半永久的に権利を持つことができるというお話をしました。

商標権の有効期間

※こちらの記事は、2021年3月16日に書かれた内容です。 ご了承ください。 ★商標権の有効期間の計算方法 以前の記事で、商標の登録料の支払い方法は2種類あって、 10年分の一括納付と5年ごとの分割納付が選べると説明しました。 [cardlink url="https://samura…

中には100年を超える商標権もあるのですが、
今現在存在している商標で、最も古い商標は、
一体どんな商標で、いつから権利が存続しているのでしょうか?

★現存最古の登録商標

早速調べてみると、「清酒」の分野で登録されている
「寿海」という商標が、
現在のところ最も古い商標となっております(登録第1655号)。

出願されたのは、
1902年5月8日で、
登録されたのが、
1902年7月16日です。

今から、119年前、明治35年ですね。
現在存在している商標は、
全てこれより後に登録されたものということになります。

たった2ヶ月で登録されたのが、
地味に驚きました。
当時は出願件数もそれほど多くないので、
スムーズに登録に至ったのですね。

「寿海」は、江戸時代に活躍した
歌舞伎役者の7代目市川團十郎の俳名(はいみょう、役者名)にちなんで
つけられたそうです。
現在は、百萬石酒造株式会社が商標権者ですが、
沢の鶴株式会社が、商標権のライセンスを受ける形で、
醸造し、販売しています。
https://www.sawanotsuru.co.jp/site/nihonshu/jukai/

★現存最古の出願商標

この「寿海」が、現存最古の登録商標であることは間違いないのですが、
出願から登録までは審査の期間があるため、
実は「寿海」よりもっと古くに出願されたケースもあります。

それが「みりん」の分野で登録されている「九重」という商標です(登録第521号)。

こちらは九重味淋株式会社が登録していますが、
なんと、131年前の
1890年7月31日
出願されています。
明治23年なので、「寿海」よりも12年も前に出願されているんですね。

登録されたのは
1910年8月24日
で、「寿海」より8年も後です。
じゃあなぜ審査に20年もかかったのか?疑問ですよね。

★「九重」より12年後の「寿海」の方が先に登録された理由

おそらくですが、
これは当時の法制度が関係していると考えられます。

日本で最初の商標に関する法令は、
1884年(明治17年)の6月7日に公布された商標条例です。
この商標条例が、明治天皇の勅令により、
1888年(明治21年)に全面改正されました。

この商標条例は、まだ法律とは言えないくらい、
整備されていないものだったんですね(おそらくですが)。
それで、1890年に出願された「九重」の方は、
この整備されていない商標条例の下で出願された商標なので、
きちんと出願のていを成していなかったか、審査がされなかったのだと推測されます。

その後、1899年(明治32年)に、最初の商標法が制定されて、
やっと内容が整備されてきました。
だから、その後の1902年に出願された「寿海」の方は、
審査する体制も整った上での出願だったので、
すぐに登録されたのではないかと考えられます。

結果として、「九重」より12年も後から出願された「寿海」の方が
現存最古の登録商標ということになりました。

こうやって考えてみると、先人たちの努力によって、
今日の商標制度が成り立っているんだなということがわかります。

そんな歴史に思いを馳せつつ、
今日もお仕事をがんばっていこうと思いました。

https://stand.fm/episodes/605411a71f2dc0769bc9324f

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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