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不正競争

本のタイトルが似てたら訴えられる?

最近は、作家じゃない一般の方でも、Kindle(KDP)などで書籍を出すことができるようになりましたよね。
無料ですぐに出版できるし、印税の率もいいし、内容もアップデートできるメリットがあります。
自分の知識や考えを世の中に広げて、ビジネスにつなげたい人にとっては、
チャンスの広がるツールの一つとして捉えられていますね。

ただ、自分で出版するとなると、商業出版とは違ってタイトルを自分で決めないといけません。
その時に「本のタイトルが他とかぶってしまってもいいのか」という、疑問が湧いてきます。

★タイトルがかぶっても、あまり問題ない

結論から言いますと、タイトルがかぶっても、あまり問題はありません。

というのも、実は本や論文のタイトルは、
基本的には、著作物ではないと考えられているからです。
つまり、そもそもタイトルには著作権が発生していない、
だから著作権法違反にはならないということです。

タイトルは本の中身や内容を説明するものであり、
極めて短くありふれたものである場合が多いというのが、
著作物ではない理由に挙げられます。

もちろん、タイトルが全部著作権認められない、というわけではありません。
タイトルがすごい長かったり、創作性があると認められたりした場合は、
著作権が認められる余地もあります。
ですが、多くの場合は認められないと考えて大丈夫です。

★商標登録されている場合

では、本のタイトルが商標登録されていた場合は使えなくなるでしょうか?
これも結論から言いますと、使えなくなることはありません。

一般的な本のタイトルについては、
中身の内容を示すものであり、品質表示であるとして、普通は商標登録はできないです。
商標というのは、”自分と他人の商品やサービスを見分けるためのもの”。
一方、本のタイトルは、”内容を表すもの(=説明的なもの)”なので、
両者は法的にはまったく別物なのです。

ただそれでも、著者がつくった造語で、まだ一般には使われていない言葉であれば、
指定商品「書籍」の分野でも商標登録されることがあります。
そういう時に問題になります。

これの答えは、たまたま商標登録されたのと似たようなタイトルの本を出してしまったとしても、
商標法違反ではないため、出版を止められることはありません。

★実際の事件

一時ブームになった「朝バナナ」という言葉を、
出版社が16類の指定商品「書籍」を指定して商標登録を受けたのですが、
別の出版社から出た「朝バナナ」の言葉をタイトルに含む書籍を訴えたところ、
出版を差止めることができませんでした。
(東京地裁平成21年11月12日判決平成21年(ワ)第657号商標使用差止等請求事件)
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/173/038173_hanrei.pdf

このように、商標を取られていても、
本のタイトルに含めてしまうことは可能ということになります。

★不正競争防止法の可能性

なお、商標登録はされていなくとも、他人の本と混同するようなタイトルや、他人の著名なタイトルと同じタイトルを使った場合、
不正競争防止法に該当する可能性も考えてしまいますが、
ここでもやはり、タイトルは商品の表示ではないと考えられ、法律違反とはならない可能性が高いです。

★例外

ただ、定期的に発行される新聞や雑誌のように、反復継続して使用されるタイトルであれば、
商標登録が認められることがありますし、不競法の商品等表示となり得ます。
定期的に発行されるものは、中身の内容を示すというよりも、他者の発行物と識別するためのもの、といえるからです。
なので、雑誌や新聞名等と同じタイトルをつけて、定期的に発行することは、避けた方がいいと思います。

★なるべく被らない努力を

以上のように、本のタイトルは、
著作権法でも基本的には保護されないし、
商標法や不正競争防止法でも、雑誌など定期的に発行されるものを除いて、
保護されません。
なので、他人の本のタイトルとかぶっても問題はないですが、
できれば、差別化のために、そして自分のブランディングのために、
他人の本とは異なるタイトルを工夫してつけてみて下さい。

https://stand.fm/episodes/6014d38083a4820acd53693b

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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