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不正競争

【事件発生】商品パッケージのデザインの模倣を防ぐ方法

★争いが勃発!

先日のニュースで、医療用医薬品の「ヒルドイド」が、
一般用医薬品(OTC)「ヒルマイルド」に対して、
販売の差し止めを求めて大阪地方裁判所に仮処分申請を行ったという
事件がありました。

※参考:「ヒルドイド」のマルホが「ヒルマイルド」に販売差し止め 健栄は申し立てに徹底抗戦(WWD JAPAN.comより)
https://www.wwdjapan.com/articles/1170478

調べてみると、「ヒルドイド」と「ヒルマイルド」の名前が近いことに加えて、
パッケージのデザインがとてもよく似ていて
思わず間違えて手にとってしまいそうに思いました。


(「ヒルドイド」HP、「ヒルマイルド」HPより、それぞれ引用)
この商品名とパッケージのデザインが似ているのではないか?
ということで、争っているのだと思われます。

★「ヒルドイド」と「ヒルマイルド」について

「ヒルドイド」は、60年以上前の1954年に発売された医薬品で、
皮膚の保湿や血行促進に効果のある「ヘパリン類似物質」からなるクリームです。
医療医薬品なので、医師の処方箋が必要です。
一方、後発医薬品の「ヒルマイルド」は、
「ヒルドイド」と同じ成分を配合した商品で、
昨年の6月から一般医薬品(OTC)としてドラッグストアで販売されるようになりました。

60年以上かけて信頼とブランドを築いてきた「ヒルドイド」側としては、
ジェネリック医薬は仕方ないとしても、
流石にここまで似せてくるのは看過ごせない、
ということで「ヒルマイルド」を訴えた模様です。

★「ヒルマイルド」は正当で適法な使用!?

ここで、なぜ「商標」だけでなく「不正競争防止法」でも争っているか、
わかりますでしょうか?

実は「ヒルマイルド」は、ちゃんと特許庁で商標登録されてるのです(登録第6264722号)。
つまり、「ヒルマイルド」は一応適法であり、正当な使用であるというわけなんですね。

確かに、「ヒルドイド」は5音「ヒルマイルド」は6音で音数も違いますし、
真ん中の文字も異なりますから、
全体としては近しいけども、「類似」とまで言えるかは微妙です。
したがって、文字の商標だけで争うのは分が悪いかもしれません。

そこで、お客さんが間違えて手に取る最大の要因となりうる、
パッケージデザインでも争うことにしたのです。
不競法上の商品等表示であるパッケージデザインが混同する、
という点を主張しているものと考えられます。

★後発医薬品の意図

ちなみに、後発医薬品が先発医薬品の名前に似てることが多いのは、
先発医薬品が長年かけて獲得した知名度や信頼に乗っかりたいからです。

それを防ぐために、先発医薬品も商標登録で対抗するのですが、
後発医薬品も類似の範囲にならないギリギリのところを狙っています。

今回の後発の「ヒルマイルド」もそういう意図で商標出願していることは、
早期審査を請求してることからすぐ分かりました。
「ヒルドイド」という先発の存在があるから、
早く審査してください、という請求をしています。
そして審査で登録の判断が出るや否や、
「ヒルマイルド」の販売を開始しています。
わかりやすいですね。

★パッケージデザインの模倣を防ぐ2つの方法

こういう事態を想定して、パッケージデザインについて模倣を防ぐためにどのような方法があるでしょうか?
これには2つあります。

①商標登録

パッケージのデザインを商標登録しておく方法です。
パッケージデザインも、他社商品と見分ける目印と考えれば、
商標の1つと見ることができます。
メリットとしては、不正競争防止法で戦うよりも、商標法で戦う方が楽という点が挙げられます。
前者では、自分の表示が広く知られてるとか、相手と混同が生じてるとかの立証が必要なのに対し、
後者は、商標が似ていることを主張すれば足ります。

②意匠登録

パッケージデザインが斬新な場合は、意匠登録という手もあります。
新しいデザインについて意匠権を取ることで、
類似のデザインの出現を防ぐことができます。
こちらも、不正競争防止法で争うよりも、立証の面で楽という点がメリットとして挙げられます。
ただ、商標とは違って、出願前に自分で世の中に公開してしまうと、権利が取れなくなるのが原則なので、
デザインを世に公開する前に手続を進める必要があります。
また、10年ごとに更新することで半永久的に権利を維持できる商標と違って、
意匠は出願から25年までしか権利を維持できないというデメリットがあります。

★著作権は△

なお、著作権に頼るのはおすすめしません
そもそも著作権が発生しているかどうかの立証も必要ですし、
訴える人が著作権者であることの立証も簡単ではないからです。
著作権は、商標権や意匠権と違って相対的で弱い権利なので、
著作権で争うこと自体ハードルが高いのです。

したがって、
商品パッケージのデザインの模倣を予防したい場合は、
まずは比較的使いやすい商標登録を、
よほど斬新な場合で、まだ世に公開してないデザインの場合は意匠登録を、
検討されてみてください。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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