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不正競争

「白い恋人」vs「面白い恋人」パロディはどこまで許される?

※こちらの記事は、2021年2月14日に書かれた内容です。
ご了承ください。

北海道の女性のお客様から、バレンタインのお菓子をいただいてしまいました!
お客様からいただけるというのは、とても嬉しいですよね。
こういうお気遣いのできる方って、仕事もバリバリできる方が多くて、
心から尊敬します。

それで、いただいたお菓子というのが、北海道の銘菓「白い恋人」でした。
全国のお土産ランキングでも、常に上位にランクインする、
定番中の定番でもあります。
みなさんも、一度は召し上がったことがあるのではないかと思います。

そんな「白い恋人」ですが、
10年前の2011年にある事件が起きたのを覚えているでしょうか?
そうです、「面白い恋人」事件です。

★「面白い恋人」事件

「白い恋人」のパロディとして、
大阪の吉本興業が「面白い恋人」という名前のお菓子を発売して、
近畿地方では人気のお土産品となってきていました。

そんな中、「白い恋人」を製造販売する石屋製菓に対し、
「「白い恋人」と間違えて買ってしまった」というお客さんからの苦情が来るようになったのです。
当時は名前だけでなく、パッケージも似せていたため、
パロディとは気づかず、間違えてしまう人もいたようです。

「白い恋人」はホワイトチョコが挟まったラング・ド・シャのクッキーで、
「面白い恋人」はみたらし味のゴーフレットだから、
袋を開ければ別物とわかります。
しかし、販売時点ではパッケージのデザインと名前を見ますから、
見る人が見れば間違えてしまうのも無理はありません。
あるいは、吉本と石屋製菓が提携して作った「白い恋人」の関連商品では?
と勘違いしてしまうこともあるでしょう。

そこで石屋製菓は、事態を重く見て、
吉本興業を、商標法違反と不正競争防止法違反で訴えることにしました。
その時の損害賠償の請求額は1億2000万円です。

どんな結末になるだろう?
商標の専門家である私はとてもワクワクして判決を待っていました。
しかし結局、2013年2月に、両者の間で和解が成立し、裁判は終結することになりました。
吉本興業は、パッケージデザインを変更。
販売地域を関西6府県(大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山)に絞ることに同意したそうです。
賠償金は支払っていません。

和解での決着なので、
「白い恋人」と「面白い恋人」が似ているのかどうか
などの判断が出ていません。

ただ、実際に間違えて買ってしまっている人がいる以上、
もし判決までいったら、商標ではわかりませんが、
少なくとも不正競争防止法違反で損害賠償請求することはできたかもしれませんね。
ただ、「面白い恋人」の販売地域がもともと関西の一部に限定されていたので、
そこまでの損害額は認定されなかったとも思います。

★パロディはNGなのか?

Wikipediaによると、パロディとは、
“他者によって創作された文学や音楽、美術、演説などを模倣し、意図的にユーモアや皮肉を付け加えて作り替えられた作品、あるいは作り替える行為そのもの”
と定義されています。

「模倣」して「作り替え」たとだけ聞くと、
法律上NGなんじゃないかと思うかもしれませんが、
パロディだから著作権侵害とか、商標権侵害とは限りません。
程度の問題でケースバイケースで判断されます。

ただ、商標法や不正競争防止法に関して言えば、
「面白い恋人」のように、
本家と間違えて手にしてしまうほど似てしまうのは、
NGだということはできます。

したがって、パロディをするときは、
本家とは全く関係ないように見せるセンスが問われますし、
仮に本家に怒られたら、大人しく身を引くくらいの
謙虚な気持ちでいる方が無難かもしれません。

★「白い恋人」と「面白い恋人」のその後

両者は和解に至ったわけですが、
実は2019年にコラボ商品を出したのをご存知でしょうか?

その名も、「Laugh & Sweets ゆきどけ」。
訴訟からの和解、そして雪解けと、
なかなかおしゃれなネーミングですよね。
白い恋人のイメージを崩さないまま、吉本らしい笑いも含まれています。
石屋製菓のプレスリリースによると、
“アーモンドを効かせたフィナンシェの中にほろ苦いキャラメルソースを閉じ込め、北海道の雪のように、真っ白でキラキラと光る口どけのよいコーティングで仕上げた商品”
だそうです。
http://www.ishiya.co.jp/upd_file/news/499/news_file499.pdf

最後はバレンタインらしく、
ハッピーエンドで締めたいと思います。

https://stand.fm/episodes/6028ae791ff79b0fbaffa79d

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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