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商標

「あまおう」🍓商標が失敗!?商標登録のデメリット

前々回の記事で、
イチゴの「あまおう」をブランド化するに至った経緯と、
ブランド名を商標登録するメリットについて、お話しました。

「あまおう」に学ぶ🍓ブランド名×商標登録のメリット

以前の記事で、 イチゴの「とちおとめ」は「品種登録」されている「品種名」で、 「あまおう」は「商標登録」されている「ブランド名」、 という法的な違いがあることをご説明しました。 [cardlink url="https://samuraitz.com/?p=2011"] その最…

その最後に、
商標登録にはメリットだけではなく、
残念ながらデメリットもあることを紹介しました。

今回はそれについてお話します。

★商標登録するデメリット①

ブランド名を商標登録するデメリットの1つ目は、
お金がかかる」ということです。
特に新しい品種の場合、品種登録とは別に、商標登録をするわけですから、
やはり費用の負担がのしかかります。

しかも、商標の場合は、どの商品やサービスについて使用するのか、
権利の範囲を指定して出願手続をするのですが、
その範囲が広いほど、より登録にお金がかかる制度になっています。

例えば、商品「イチゴ」だけだったら、
1つですむので、さほどお金はかかりません。
しかし、「イチゴ」に加えて「イチゴを加工したジャム」についても商標を使うとしたら、
その分費用が追加されますし、
さらに「イチゴの大福」や「イチゴのジュース」「イチゴのお酒」etc.と、
これら全部追加すると、結構な費用が必要となります。

また、すでに何度かご説明したように、
商標は10年ごとの更新により、
20年、30年と半永久的に権利を持つことができますが、
逆に言えば、10年ごとに更新手続の費用がかかるわけです。

商標権の有効期間

※こちらの記事は、2021年3月16日に書かれた内容です。 ご了承ください。 ★商標権の有効期間の計算方法 以前の記事で、商標の登録料の支払い方法は2種類あって、 10年分の一括納付と5年ごとの分割納付が選べると説明しました。 [cardlink url="https://samura…

そう考えると、
商標は常に「費用対効果」を考えることが
重要だということですね。

★「あまおう」の失敗!?

ちなみに「あまおう」は、JA全農さんが
最初にイチゴが属する「果実」や「苗」といった分野だけで登録しました。
しかし、そのわずか5日後に、
福岡県のお菓子のメーカーが
「あまおう」の商標を「お菓子」や「パン」の分野で出願してしまい、
翌年に登録されてしまいました。

つまり、JA全農さんは、
「お菓子」や「パン」の分野では、無断で「あまおう」の商標を使ったり、
他者に使用許諾をしたりすることができないということです。
例えば、無断で「あまおうパン」とか「あまおうチョコ」みたいな使い方ができないんですね。

これはブランド化を目指す上では、ちょっと手痛い失敗と言えるかもしれません。

これを教訓にしたのか、JA全農は
その後、果実飲料や果実酒、化粧品などの分野にも、
商標出願をして、登録を受けています。

このように、商標登録は、椅子取りゲームみたいなもので、
権利を取る部分が異なれば、
基本的には他の誰でも登録できてしまいます。
先に取られたところは、こちらは無断で使えなくなるので、
それを気にすると、どうしても広範囲で権利を取る必要性を感じて、
ついつい費用がかかってしまうんですね。

★商標登録するデメリット②

ブランド名を商標登録するデメリットの2つ目は、
手間がかかる」ということです。
この「手間」には、2つの手間があります。
それは、「手続する手間」と「登録後の管理の手間」です。

商標登録するには、「商標出願」の手続をしますが、
ミスがないよう、書式を確認することが必要です。
したがって、手続きには手間がかかることを、
覚えておかなければなりません。

もう1つの手間は、「登録後の管理の手間」です。
商標って、登録されて権利が取れたら終わりではないんですね。
10年ごとの更新の期限を過ぎないように注意しないといけませんし、
権利者が変わったり、住所が変わったりしたら、
きちんと届出の手続が必要です。
他の誰かが自分のと類似の商標を使っていないか、ウォッチングすることも大切ですし、
新規事業について、商標権でカバーできているかの確認も必要です。
時には、第三者から商標登録の取り消しを請求されることもあります。

★普通名称化

そして、何より気をつけたいのが「普通名称化」です。
また別の機会に詳しくご説明しますが、
これは、せっかく取った登録商標が、
その商品やサービスの一般的な名称であると認められてしまった状態を言います。

「普通名称化」してしまうと、
もはや他人に対して商標権侵害を訴えることができなくなってしまいます。
すなわち、お金と時間をかけて取った自分の商標が、
みんなのものになってしまうということです。

せっかくあの手この手で喜ばせて、
やっと自分の彼女・彼氏になったのに、
みんなの彼女・彼氏になったら嫌ですよね?
それと一緒です。

元々はブランド名だったのに、
「普通名称化」して、一般的な名称になってしまった農産物の事例で、
巨峰」や「サニーレタス」があります。

ちゃんと考えがあって、「普通名称化」させるならいいのですが、
本当はブランド名として使っていきたいのであれば、
この辺の管理は気をつけなければなりません。

以上、ブランド名の商標登録には、
いい点ばかりではなく、こういったデメリットもあることを、
覚えていただければと思います。

https://stand.fm/episodes/60595306307f05a11f4564da

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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