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著作権

DMやLINEの内容をさらすのは著作権侵害!?

TwitterなどのSNSで、自分や知り合いが、他の人としたDMやLINE、メールなどを、
スクショしてアップしているのをよく見かけます。

内容的には、「やりとりがすごい面白かったからみてくれ」という、ほのぼのしたものもあれば、
「この人あほでしょ」という、バカにするもの、
「こんなことがあったんだけど、ひどくない?」という、報復的なもの復讐的なものもあります。

★個人間のDM等のやりとりは2人の共同の著作物

こういうのは、もちろんプライバシーの侵害という側面もあるのですが、
実は著作権の問題もあるのをお気づきでしょうか?

自分の発言や文章、これは自分の著作物ですが、
他人の発言や文章は、その人の著作物ですよね。
ということは、自分と他人のやりとりは、
2人の共同の著作物と言えるのです。

もちろん、「ありがとう」とか「おはよう」といった、
定型的でありふれた内容に著作権はありませんが、
何かしらその人の個性が現れた創作性のある内容であれば、
著作権が発生していると考えられます。

★「複製権」と「公衆送信権」と「公表権」

ということは、そのDMなりLINEなりメールなりのやりとりを、
相手に無断でSNSに公開する行為はNGということになります。
もっと具体的に言うと、
著作権のうち「複製権」と「公衆送信権」の侵害の恐れがあります。

また、このやりとりの内容を公開するかどうかを自分で決めることができる「公表権」の侵害も考えられます。
著作権とは別の「著作者人格権」のカテゴリーに入る権利ですが、
未公表の著作物を相手に無断で公表することは、
相手の人格を尊重していないよねと言うことで認められていません。

★実際の事件

実際にあった事例で、「三島由紀夫手紙公表事件」というものがあります。
これは、手紙の公開に関する事件ですが、
生前の三島由紀夫と親交のあった福島次郎さんという方が、
個人的にやりとりした手紙の内容を、小説に認めて出版してしまいました。
タイトルが「三島由紀夫――剣と寒紅(つるぎとかんべに)」で、
著者と三島の同性愛の関係が書かれていたために、
かなり注目を集めたんですね。
これが出版された時は、三島は既に他界していましたが、
遺族が訴訟に踏み切り、
その結果、生存していたら「公表権」の侵害になるだろうとの判断が下され、
出版が差し止められました。
(東京高裁平成12年5月23日判決平成11年(ネ)第5631号著作物発行差止等請求控訴事件)
http://tyosaku.hanrei.jp/hanrei/cr/4017.html

★名前を隠した場合

ここで1つの疑問が浮かび上がるのですが、
相手の名前を隠せば問題ないのでは?と思うかもしれません。
もちろん、プライバシー侵害の側面から見ればそうなのですが、
著作権においては、名前を出しても隠しても、結論は変わりません。

むしろ、著作者人格権の中に「氏名表示権」といって、
内容を公表するときには、名前を表示するかしないか、
その名前は本名なのか、ペンネームなのかを決める権利があるので、
名前を隠すのは「氏名表示権」の侵害になる可能性があります。

★社会正義としての公表

以上の通り、個人的なやり取り、私信を勝手にさらす行為は、
著作権の問題があるわけですが、
中には、「これは社会正義のためにやっているんだ」というケースもあると思います。
例えば、最近だと、YouTuberの人が15才の少女に要求した、犯罪まがいのやり取りが明るみになって話題になりましたが、
こういうのを公表することで、法の裁きを受けることが正義なんだという考えも理解できます。
それから「文春砲」などと言って、芸能人の不倫や浮気の証拠となるLINEの内容が流出することもありますね。
こういった行為が正しいか、正しくないかというのは、
著作権とはまったく別の話になるので、どちらも両立して別々に判断されると考えてください。
つまり、個人的なやり取りを無断でさらすのであれば、
ある意味、相手と差し違えるような覚悟を持ってやるということです。

以上、個人的なやり取りでも、相手の著作物が含まれることがあって、
その内容を公表するときは、相手の許可を得てからにする、
という点を、覚えていただければと思います。

https://stand.fm/episodes/600cddc96541d84bd0e19980

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。

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