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ブランディング

あえて「ブランド化しない」メリット

※2019年3月5日配信メルマガVol.9より、一部加筆修正の上抜粋

ブランディングというと、ブランドの一貫したメッセージやその提供主体の存在を伝えるために、
規定の商標(文字やロゴ図形等)を用いて、
情報発信や商品・サービスを提供し続けることが大切でした。

これにより、商品・サービスへのアクセスを円滑にしてくれるだけでなく、
ブランドの発信側と受信側の関係を強固にして、
特別な感情や精神的な結びつきが生まれてくるからです。

そのため、弊所のお客様にも
「登録した通りに、商品や包装やウェブサイト等
なるべく多く商標を使用してくださいね」
とお伝えしてきたのです。

ところが、最近は、異なる方向性のブランディングも存在することがわかってきました。
「あえてブランド化しない」というやり方です。
(”アンブランディング”や”逆ブランディング”という言葉もありますが、これらの言葉は「ブランド化したいのにできていない」や「既存のブランドイメージを壊していく」という意味でも使われているようです)

例えば、何か新しく考えた特定の活動や思想そのものの認知を、
社会に広げていきたいという場合。
SNSの浸透により、拡散しやすい土壌が整ってきましたが、
そのためには、新しい言葉をつけて着目してもらって、
多くの人に「これは自分のための運動・考えだ」と思ってもらう必要があります。
人は、自分のことに一番興味があり、なおかつ同じ考えを持つ人とつながりたい欲求があるからです。

つまり、拡散のためには「自分ごと化」してもらうことが大事なのですが、
そこに発信元のブランドを示すロゴマークやアールマーク(®)がついていたら、
「自分のものではない」と感じてしまい、拡散されなくなってしまう可能性があります。

拡散されて話題になった最近の著名な例では、「#MeToo」運動なんかがありますね。
ご存知の通り、セクハラや性的虐待の体験を告白し、共有する際に用いられる用語です。
女優のアリッサ・ミラノ氏が声を上げて一大ムーブメントになったのは2017年ですが、
実はこのスローガンはその10年前の2007年に、米国の活動家タラナ・バーク氏により提唱されていました。
(参考:https://www.nytimes.com/2017/10/20/us/me-too-movement-tarana-burke.html
もし、バーク氏自身のものとして所有権が主張されていたら、
ここまで拡がっていなかった可能性があります。
自分のブランドにしないことは、拡散されやすくなるメリットがあったのです。

このような多くの人に拡散される運動の特徴として、
「一貫性を持ちながら、良くも悪くも変化する」
という点が挙げられます。
「#MeToo」も、最初は”被害者への共感”が目的だったのに、
いつの間にか”魔女狩り”や”男性への復讐”に変わっていたり、
パワハラやいじめや差別体験の告白に用いられたり、
ただの”あるある話”にタグ付けされたり。

日本でも、池上彰氏のパクリ疑惑を告発する「#いけがmetoo」や、
パンプス着用強制に反対する「#Ku Too」などの関連語が登場しました。
その是非はさておき、変化させる人がいるからこそ、様々な形で予想だにしない方向に拡がっていくわけなんですね。

こうした盛り上がりを通じて、
多くの人の意識が変化し、行動を促すことで、
自分が思い描いている理想の未来が実現するなら、
それはそれで大成功であるといえるでしょう。

「ギビング・チューズデー」という運動を主催した「92Y」という団体は、
自らがキャンペーンの主催者であることを主張しなかったことで、
多くのフォロワーを生み出し、
「最も革新的な企業」として注目を浴びるようになった結果、
財団から1500万ドルの寄付を獲得したそうです。

あえて”自分のブランド”にせず、
“みんなのブランド”にしていくことは、
新しい時代のブランディングとして注目していきたいですね。

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