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盗みのすすめ

※2019年1月8日配信メルマガ創刊号より、一部加筆修正の上抜粋

さて、米Appleの創業者、スティーブ・ジョブズが引用した
“とある言葉”が大変興味深かったので、ご紹介します。

「Good artists copy, great artists steal.」
(優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む)

これ、誰の言葉かご存知ですか?

実は、20世紀を代表する芸術家、パブロ・ピカソの言葉なんです。

例えば、ピカソの「朝鮮の虐殺」という(ちょっと怖い)作品は、
フランシスコ・ゴヤの「マドリード、1805年5月3日」や、
エドヴァール・マネの「皇帝マキシミリアンの処刑」の構図を
モチーフにしていると言われています。

それでもちゃんとピカソのオリジナリティが表現されているのは、
表面を“模倣”するのではなく、
深層や本質を“盗んで”いたからなんですね。

そんなピカソの言葉を引用したジョブズのAppleも、
iPhoneのデザインはSONY風にデザインされたものであることが、
「Apple vs Samsung」の裁判資料内で明らかになっています。
(下記リンクのP7参照)
http://assets.sbnation.com/assets/1257891/Samsung_unredacted_trial_brief.pdf

上記リンク内で示されているのは、実際のSONY製品ではないのですが、
ジョブズは「もしソニーがiPhoneを作ったとしたら、どんなものになるだろうか?」
と問いかけて、デザイナーにモックアップを作製させたのです。

実際の製品を横に置いてマネしたら、知的財産の侵害になり得ますが、
企業文化や製品コンセプトといった、高い抽象度のレベルでマネしたら、
なんの権利も侵害することにはなりません。
これも、表面上をパクった“模倣”ではなく、
本質をパクった“盗み”のいい例ですね!

知的財産(知財)を扱う弁理士というと、
「独創的な発明をして、特許を取りましょう」
「真似されないように知的財産権を取りましょう」
「知的財産権を取って独占しましょう」
など、現実離れしたことを言いそうなものですが、

“知財の限界”を把握した上で、
「いいものはどんどん拝借する」
「パクられても仕方のない部分もある」
「独占ではなく、オープンにする方がよい場合もある」
と考えた方が、
知財を有効に活用できるのではないか?
と思います。

よい事例は、上手に“盗んで”いきたいものですね。

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