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優れたビジネスモデルは狙われる

※2019年1月15日配信メルマガVol.2より、一部加筆修正の上抜粋

さて、プリンタやコピー機は、
ビジネスモデルの変遷や知財の攻防を学ぶ上で、
なかなか示唆に富んでいます。

かつてはコピー機本体の利益で稼いでいたので、
開発費を掛けてでも技術レベルを上げ、
本体の特許を取る例が多くありました。
そこで、本体に比してローテクで特許もないトナーを製造し、
あたかも純正品かのように、
「Canon」とか「EPSON」といった純正ロゴをつけて販売する業者が現れたのです。

これに対して、純正メーカーは商標権侵害で対処したのですが、
今度は「for Canon」とか「for use in EPSON」のように、
「あくまで互換品ですよ~」と表示して、
商標権侵害を免れたわけです。

そして、本体価格が上がるに連れて、ビジネスモデルの転換も起こり始めました。
主流の1つは、政府や大企業をターゲットに、本体の貸し出し&保守サービスを行うモデル。
もう1つは、中小企業や個人事業主に絞って、本体コストを下げて安価に提供する代わりに、
消耗品のトナーで稼ぐモデル。
前者の例がゼロックスで、後者の例がキヤノンです。

特に後者は、コピーのトラブルが集中する「ドラム周り」を使い捨てにすべく、
カートリッジを自分で交換できるように設計したところに特徴があります。
前者のようにサービス担当を置かなくてもいいし、
カミソリの替刃のように、”消耗品を何度も買ってもらう”ことで、
リピート収入を得られるから、経営も安定するわけですね。

そこで、トナーやカートリッジの特許が出てきます。
消耗して何度も購入する部分に権利を取れれば、
互換できなくなるので、市場から締め出すことができます。

こうしてガッチリ固めた特許により互換品を一網打尽…
といきたいところでしたが、長期にわたる特許審査が下る頃には、
うまく設計変更して特許を回避した互換品が現れてしまいました。

このような互換品を排除すべく、
本体とトナーカートリッジの構造をさらに工夫して特許化し、
特許の構造を使わないと互換不可、となるようにしました。
これは、うまくいきました。

が、今度は「トナーインクの詰替」を行う業者が出てきたのです。
特許には「消尽」という考え方があり、
特許製品を製造する行為には権利が及びますが、
一旦市場で販売した特許製品には権利が及ばないのです。
特許製品の改変を伴わないトナーの詰替行為も、
「製造」にはあたらないので侵害にはならず。
(Amazon等で「トナー」を調べると出てくる「再生品」というのがそれです)

メーカー側はめげずに「ICチップ付のカートリッジ」を発明し、
トナー切れ時にユーザに通知が行くことで、
効率的にカートリッジ回収できる仕組みが生み出されました。
チップ内にはプログラムの著作権も存在するので、複製ができません。
やっとこの攻防に終止符が打たれたと思いきや、
今度は「独占禁止法」に抵触するのでは?と議論されています。
なかなか終わりが見えないです。

かなりざっくりとした解説になってしまいましたが、
プリンタ・コピー機の分野では、
純正品と、模倣品&互換品のいたちごっこ状態なのですね。

いずれにしても、この事例から申し上げたいのは、
「優れたビジネスモデルは、狙われやすい」
ということです。

ビジネスモデル自体に特許は取れませんから、
「ビジネスモデル自体が真似される」
ということもありますが、
(消耗品のトナーで稼ぐのも、カミソリの替刃で稼ぐモデルの真似ですよね)
「ビジネスモデルの穴をつかれる」
というのが、この攻防の歴史でもあります。

逆にいえば、
「真似できるビジネスモデルはないか?」
「ビジネスモデルの穴はないか?」
という視点で自社や他社を見ると、
応用できることが見えてくるかもしれませんね。

ちなみに私は、
お客様の手にわたる書類に互換品の印刷物を用いるのは、
見えないところで手を抜いてる気がして、
回り回って自分の首を絞める気がするので、
断固!純正品を支持しています、笑

■参考文献
・「消耗品ビジネスと知的財産権の活用(<知的ぷりずむ>vol.5 No.51 2006年12号)」(田端泰広 氏著)
・「ニックリサイクルトナーカートリッジ事件(判例評釈181)」(中川淨宗 氏著)
・「消耗品ビジネスの攻防と特許権・独占禁止法(第19回知的財産権誌上研究発表会)」(帖佐隆 氏著)

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