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トヨタはなぜ特許を無償で公開するのか?

※2019年4月30日配信メルマガVol.17より、一部加筆修正の上抜粋

平成も本日で最後ということで、なかなか感慨深いものがありますね!

さて、日経新聞によると、平成の30年間で最も時価総額を増やした日本の企業が、
「トヨタ自動車(7203)」だそうです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44275840W9A420C1EA1000/

消費税導入、バブル景気、バブル崩壊、不良債権問題、リーマンショック、超円高、アベノミクス、マイナス金利…と色々ありましたが、
世界のトヨタが時価総額を15兆円、純利益を2兆円増やしたのですね。

そんなトヨタが最近、HV(ハイブリッド車)関連の特許約23,740件の実施権を、10年間無償で提供することを発表して話題となりました。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00514424
HVだけではなく、PHV(プラグインハイブリッド車)やFCV(燃料電池車)にも使える技術のようです。
同社は2015年にも、FCVの特許5,680件を無償で開放していますが、今回はそれに続く大規模な技術公開ということになります。

なぜ、巨額のお金をかけて研究開発して取得した特許を、
他社に無償で使わせるのでしょうか?
もちろん、単に太っ腹だから、というわけではありません。

いくら優れた技術を持っていても、
それを囲い込むことで、他社が回避していき、
しまいには”ガラパゴス化”してしまいます。
したがって、その市場全体がしぼんでいき、
技術の価値がなくなってしまう恐れがあるのです。

つまり、他社の自動車に自社の技術を使ってもらうことで、
その市場全体を活性化させ、同時に自社のシェアを維持できれば
覇権を握ることができるわけですね。

また、いくら技術が公開されているとしても、
実際に自動車に適用するには、困難が伴います。
そこで、それを適合させる部品やシステムのノウハウを持っているトヨタが、
有償で提供したり、技術支援したりすることができるのです。

こういった、オープンの部分とクローズの部分を、
意図的に切り分ける知財戦略のことを「オープン・クローズ戦略」と言います。
仲間を増やして囲い込みつつ、王者としての座は譲らないわけですね。

ミドリムシを原料にした、食品、化粧品、バイオ燃料の開発・製造を行うユーグレナも、「オープン・クローズ戦略」を取る企業の1つです。
ベンチャーということで、トヨタとは少し勝手が違いますが、
食品や化粧品等への用途技術の特許を取得し、
大手と協業することで普及させるも、
肝心のミドリムシの大量培養方法については、秘中の秘としてノウハウ化しています。
こうして、ミドリムシの生産部分は自社でガッチリと握り、
実用化部分は、権利で守りながら大手と手を組んでいるのです。

平成の後期から各産業で用いられ始めた「オープン・クローズ戦略」。
令和の時代には、スタンダードな考え方として浸透しそうです。

 

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